
牛の発情を見つけるのが難しいです

昔より発情が分かりにくくなってわ

まずは牛の発情を理解するところから始めましょう
牛の発情について
動物は子孫を残すため子育てしやすい時期に出産します。山羊や羊は秋に発情を示し春に分娩します。馬は基本的に春に発情を示し翌年の春に出産します。季節繁殖動物は繁殖シーズンが限られますが、牛や豚は多くの野生動物とは異なり繁殖季節を失い年間を通して発情を示します。特に馬は繁殖シーズンが限られているので、数少ないチャンスを逃さないために一生懸命発情をみつけます。一方で季節に左右されない牛は年中妊娠できるチャンス=大きなメリットがある品種だと考えられます。
牛は18~24日周期で発情がきて、このちょうど真ん中の21日が一般的に言われている発情周期の日数になります。およそ1ヶ月に1回、2ヶ月に3回受胎させるチャンスが訪れます。このチャンスを見逃さないことが酪農経営を支える基本となります。
牛は分娩したら8日前後で卵胞の発育が開始します。乳牛の場合はちょうど泌乳量が増加する時期ためエネルギー不足となり明瞭な発情を示すことはありません。泌乳量に見合ったエネルギ-・蛋白質を給与すれば下図のような繁殖サイクルを示し、分娩後50日前後に初回授精を行うことができます。分娩後50日で受胎させることができたら分娩間隔は50日+妊娠期間280日で330日となります。
一方で、泌乳量に見合うエネルギーや蛋白質が不足している・産後病気にかかると下図のようなサイクルは回らず、発情を示さない(排卵するエネルギーが足りない)状態となり卵巣静止・卵胞嚢腫といった病態となります。
下図のように分娩して50日に授精1回目、70日に授精2回目を行い40%程の受胎率でしたら繁殖管理はうまくいき、満足いく乳量を搾ることができると思います!
しかし、なかなか理想的に物事がすすまないことが一般的です。是非このサイクルに達成するためにひとつずつ問題を解決していきましょう。

牛の発情粘液

写真をみてみると、尾に無色透明な粘液がついています。これが発情粘液です。この粘液は地面につくほど、とてもよく伸びます。まずはこの粘液を見つけて下さい。

尻尾を振り回すため後ろ足についていることもあります。
つなぎ牛舎でしたら朝一牛が寝ているときに確認するといいでしょう。
牛は発情している牛を嗅いで乗る

発情している牛はフェロモン(匂い)を発しているのでしょう。このように匂いを嗅がれていたら発情かもしれません。この物質を特定して検出できるような手法を考えたらノーベル賞クラスの発見じゃないかなぁと昔から思ってます(笑)

匂いを一生懸命かいでいます。

さぁ、発情している牛がベットから牛がおりて、さらに匂いを嗅いでいます。

これが発情の基本、乗駕行動です。乗られてじっとしている牛が発情です。乗っている牛が雄牛でしたらこのように授精します。なんで、雌も乗るのか不思議ではありますが。
この発情を示すにはまずは足を痛がっていないことが重要です。足が痛いと乗る気も起こらないでしょう。滑りやすい床もNGです。弱い牛は乗られて股関節脱臼をしてしまうこともあります。
つなぎ牛舎はこのような発情行動は制限されるので、粘液・さわいでいる・横の牛に乗ろうとする・目がギラついている・陰部が腫れぼったい・尻尾が軽い・興奮している、などなど日々と違った微妙な変化を見つけるしかありません。朝一番もしくは餌を食べて寝ている時、牛の後ろに回って粘液が出ていないか確認することをルーチンワークにするといいかと思います。
これは人の感性・センスというのでしょうか。全く牛の発情が分からない人もいれば、牛の後ろに立てば発情が分かる人もいます。この発情をみつけるセンスをわたくしも磨いていきたいものです。
話はそれましたが、この発情行動を示すには牛を健康に飼っていることがとても大事です。牛本来の発情行動がみられない=牛がなにかを訴えているのかもしれませんね。
初回授精の重要性
写真のような発情行動を示さないケースが大半ですが、分娩後10日程で1回目の発情(排卵)が起こっています。分娩後30日程度にくる2回目排卵で初回発情を示すようになります。この初回発情で授精する事も可能ですが、牛の子宮がまだ正常に回復していないため、この時期の授精受胎率は極端に低い傾向にあります。
そこで農場によって多少の違いはありますが、分娩後40~70日以内をVWP(自発的授精待機期間=子宮の回復期)と位置づけこの時期を過ぎていない発情は授精を見送ります。VWPを設定するということは、この待機間を終了した牛は最初の周期21日以内に授精を必ず行う意思表示でもあります。
このVWP後21日以内に授精する割合を限りなく100%に近づける事が繁殖効率を最大にする要因であり、これを達成するために関係者わたしたちは最大限の努力を行う必要があります。
初回授精の受胎率を高める
VWPを経過して速やかに初回授精を行う事ができて安心するのはまだ時期尚早です。少し立ち止まり受胎率を確認する必要があります。
頑張って初回授精を行っても受胎率はたったの10%(10頭授精して受胎した牛は1頭)といったケースもまれにあります。
この場合9頭は次の発情が回帰するので繁殖管理の仕事は楽になりません。できれば初回受胎率は40%以上が望ましく、最低でも30%は欲しいところです。
VWPの設定と初回授精受胎率のバランスが大切です。
初回受胎率が低いケース
- VWPを早めに設定しすぎている(例えば40日)受胎率が低い場合は、発情も見逃す行為はもったいない気もしますが、思い切ってVWPを60日に遅らせてみましょう。120日までに受胎させれば問題なしです。
- 産後の病気が多い。乳熱・ケトーシス・乳房炎・第四胃変位といった病気が多い。こういった病気の入り口は産前産後の乳熱にあります。まずは分娩前の牛にカリウムの低い餌を給与してみましょう(高カリウム自給ロールは思い切ってやめて購入粗飼料を与える)。産後の病気に繋がりそうな要因を排除することはとても大切です。
- 分娩後のエネルギーバランスに見合った餌が給与されていない。分娩後の体重減少が著しくガリガリに痩せて、卵巣が静止する。現在の乳牛はアスリートです。乳を生産するために大量のエネルギーと蛋白質が必要です。牛の状態を観察して適切な飼料を給与しましょう(参考:基本的にはフレッシュチェックで卵巣疾患や子宮疾患がなければ大丈夫です)
初回授精受胎率を高めることは繁殖管理を楽にさせるとともに農場に大きな利益をもたらします。
まとめ
- 牛は年中発情する動物であり、発情は平均21日間隔で訪れる。牛が発情行動を起こしやすい環境や餌を給与し病気のコントロールを行う。特に乾乳期の管理は大事!
- 平均初回授精日と平均受胎率を調べてバランスをチェックしてみましょう。
- 平均初回授精日数70日、平均受胎率40%を目指しましょう。



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