牛 フレッシュチェックの意義と効果

その他の繁殖

分娩後の最初に行う繁殖検診!フレッシュチェックは行っていますか?

このフレッシュチェックは行うことは簡単ですが、なかなかその効果を検証することは難しいかと思います。実際やってはいるが、本当に効果はあるのか?

今一度、フレッシュチェックの意義・効果検証について考えていきましょう。

フレッシュチェックを実施する意義

フレッシュチェックをする際には以下のようなチェックを行います。40日前後で開始するといいでしょう。繁殖の保険は41日目から対象となります。

1.健康状態の評価  母牛の一般的な健康状態を評価します。 体重の変動(BCS)、足の問題などを観察し、健康状態に異常がないかを確認します。

2. 子宮の評価 分娩後の子宮の状態を評価します。

3. 子宮の治療  必要に応じて子宮の治療を行います。子宮内に留まる膿や感染を治療するために、PGを投与したり、生理食塩水や抗生物質を使って子宮内を洗浄することもあります。

4.卵巣の評価  卵巣の状態を評価します。卵巣の機能や卵巣静止、卵胞嚢腫の発生状況、黄体の形成や排卵の確認などを行います。

5.繁殖計画の見通し フレッシュチェックの結果をもとに、母牛の繁殖計画を立てます。適切な時期に人工授精を行うためのスケジュールを設定し、次の妊娠を促進するための診断治療、方向性の決定を行います。

6.フレッシュチェックの総合評価 過去の結果も含め総合評価を行い牛群の健康状態、飼養管理、特に給与飼料の量的、質的不足、飼養環境などを見直していきます。

フレッシュチェックは、母牛の初期妊娠率を向上させるために重要な検査です。 健康状態や繁殖能力の問題を早期に発見し、適切な対応を行うことで、効果的な繁殖管理につなげることができます。具体的な手順や評価基準は、獣医師や繁殖管理の専門家によって異なる場合がありますので、現地の専門家と相談してみてください。

フレッシュ時の正常な状態

一般的に繁殖成績が良好(分娩間隔400日程度)の牛群は分娩後40日目の検診で、感覚的な数値になりますが、80%以上で子宮は正常に回復しており、卵巣には黄体が確認できます。

復習になりますが上記の様なサイクルが営まれています。

分娩して2週間で初回排卵が起こります。1ヶ月前後で初期発情がきて子宮修復が起こります。2回目の発情が50日前後できて、これで子宮内の細菌が浄化されます。

3回目の発情が分娩後70日前後に!この発情に授精して受胎率40%が目指すところです。

子宮が回復し黄体が有る牛の割合は何%

卵巣静止・卵胞嚢腫の割合は何%

治療を必要とする子宮内膜炎・子宮蓄膿症の割合は何%

まずは、上記の割合をチェックしてみましょう。

フレッシュチェック時の治療評価

治療効果を判定するためには、同じ病状の、しかし治療を受けていない牛と比較することが必要です。しかし、現実の農場環境では、健康状態に異常が見つかった時に何もしないということは、なかなか難しいですよね。

そこで、フレッシュチェック時に健康と診断した牛と、子宮内膜炎と診断しPGを投与した牛の治療効果を検証してみましょう。

40日前後でフレッシュチェックを行い、

1(フレッシュOK群)黄体が存在して子宮が綺麗

2(フレッシュNG→PG群)黄体が存在しているが排濃ありもしくはエコーで子宮内が汚い

この二つの群を下記の様なグラフを書いて比べてみます。

このグラフを書くには統計ソフトもしくは繁殖ソフトがいるので、できる人に相談してみてください。

左側に非妊娠牛の割合(0日目は1.0→全ての牛が妊娠していません)、下のメモリは分娩後の日数を示しています。黒い線がフレッシュOK、赤い線がフレッシュチェックで異常と診断しPGを投与した牛です。

このグラフは受胎すると下に落ちていきます。早く受胎するほど下に落ち、非妊娠牛の割合が減り成績が良いことを示しています。

フレッシュOKの牛の半分が受胎するまでに101日かかっているのに対して、PGを投与した牛は153日かかっています。

つまり、この農場ではフレッシュチェック時にPGを投与してもフレッシュOKの牛よりも中央値で50日程度受胎が遅れていました。

一方、フレッシュチェック時に、

1.黄体は無いが排濃も無くエコーでも異常なし=回復遅延(卵巣静止・卵胞嚢腫)

2.黄体は無く、排濃が認められる、もしくは、エコーで子宮に異常あり=治療を必要

この2に対して薬液注入の治療を行いました。その結果を分析したものが上記のグラフになります。

黄体が無くて子宮に異常が無い無処置だった牛と、治療した牛では差のない受胎スピードでした。

空胎期間中央値で107日と108日です。

治療効果を判定するためには、同じ病状の、しかし治療を受けていない牛と比較することが必要なので信頼性の高い結果といわけではありませんが、ある程度の治療効果があると推測されます。

フレッシュチェックの治療効果は判断に困ることがあると思いますが、このようなグラフを書くとおおよその傾向はつかめると思います。

個体別の繁殖計画の見通し

繁殖管理をする上で、繁殖に供さない牛の判断がとても大切になります。

1.状態もあまりよろしくないが、受胎する可能性はあるから授精対象牛に入れる。

2.一方、状態もあまりよろしくないから、分娩後40日で繁殖中止牛とする。

二通りの考えがあります。

とりあえず、1.のいける所まで繁殖治療と授精を頑張る!!!この考え方も、わたくし自身は好きです。

しかし、おかれている状況、育成牛への更新可能力に左右されますが、2.の繁殖中止牛の判断を速くする農場ほど結果的に繁殖が上手くいくケースが多いような感じがします。

酪農家さんの感覚的に繁殖に苦労するであろう牛を事前に繁殖対象外にすることによって他のことに力を注げる感じがするのかなぁ、と想像します。

個体別のフレッシュチェック時の評価を参考に、早期の繁殖対象牛の選定は大事です。

フレッシュチェックの総合評価

最終的に大切なことは過去に行ったフレッシュチェックの結果を踏まえ総合評価を行い改善を行っていくことになります。

たとえば、分娩前後に飼養管理(栄養状態)に低栄養があると正常なサイクルが回りません。

まずは、分娩後10~14日目に起こる初回排卵の遅れから子宮修復の遅れに繋がり、これは最終的に初回授精の遅れ・初回授精受胎率の低下につながります。

この状態はフレッシュチェック時に子宮疾患をかかえて治療が必要な牛(子宮内膜炎・子宮蓄膿症)、もしくは回復遅延牛(卵胞の発育が遅れる卵巣静止、卵胞はあるものの排卵するエネルギーが足りない卵胞嚢腫)の割合が増えています。

これらの問題は乾乳期~分娩そして泌乳初期に何かしらの原因があることを意味しています。

この負のサイクルの根源は何処にあるのか?これを考えるきっかけになるのがフレッシュチェックの役目でもあります。

まとめ

以上、フレッシュチェックチェックの意義と効果判定について述べさせて頂きました。

最初から、問題が起こっている根源を解決することは大変だと思います。特にハード面の問題となるとなかなか着手できないと思います。

しかし、フレッシュチェックを漠然と行ってい場合、それは大変もったいないことです。

その結果を活かし、牛群の改善につなげてください。

目指すはフレッシュを必要としない健康な状態にすることです(分娩して30日程度で発情がくる)。

フレッシュチェックOKの割合

治療は必要としないが回復遅延の割合

治療を必要する牛の割合

以上、上の三つの割合でだけでも分析し円グラフにしてみると良いでしょう。

繁殖管理にほぼ問題がない農場はこのような傾向になります。

一方、先ほどの多くの治療を必要としていた牛群は、

フレッシュチェックOKの牛の割合が32%しかありません。このOKの数値が50%を下回っていると分娩間隔400日を切るのに苦労します。

一方、フレッシュチェックOKの牛が80%を超える場合はフレッシュチェックは必要ないでしょう。分娩後60日経過しても発情がこない牛のみ治療すれば十分かと思います。

初回授精が遅い・初回受胎率が低い場合にフレッシュチェックを行い農場の総合評価を行い、専門家の意見を聞いて改善していきましょう!

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