一般的PG受胎率は44%!あなたの牧場は何%?

受胎率
酪農家
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獣医さんにPGを投与してもらったら3日後に授精師さんに授精してもらってるけど、本当にこれって、良いのだろうか?あまり受胎していないような気がするんだが?

プラチナベット
プラチナベット

受胎率が低い可能性も考えられます。PGによる授精の受胎率を分析して下さい。

PG(プロスタグランジンF2α)はお使いになっていますでしょうか?

繁殖農家さんでしたら、きっと一度は使ったことがあると思います。

この記事では

PG(プロスタグランジンF2α)の作用について

PGの受胎率について

PGのメリット・デメリット

PGの受胎率を上げる方法について

PGは発情期間を短縮することができるとても便利な薬です。この便利さ故にメリット・デメリットが存在すると考えられます。

このPGを上手に使いこなすことが繁殖成績を向上させる肝になってきます。

PG製剤の作用について

本来、PGは子宮内膜から分泌されるホルモンで、発情が来る数日前から分泌が始まり黄体を退行させ発情がきます。このPGを製品化したものを、牛に投与すると同様に黄体退行作用によって発情が来る仕組です。つまり、牛の卵巣内に黄体がある時にPGを投与すれば発情がきます。

発情は投与後、おおよそ1~5日にきます。このようにPGはその後の発情がばらつくので、3日目だけに焦点を絞ると受胎率に差がでてきます。

昔、PGは発情周期をリセットするもので、次に回帰する発情を発見するためと教わりましたが、いつのまにかPG投与後発情行動の有無に関わらず、授精するのが一般的となりました。PG投与後に牛は発情を示しますか?発情を示さないで3日後に機械的に授精することが多いでしょうか?

一般的なPGの受胎率は44%!

PG投与後の成績を調査した報告があります。

その結果はPG投与頭数:11300頭、授精率63%、受胎頭数5000頭、受胎率44%です。

どうでしょうか?PGの受胎率が44%と聞くと高いなぁと感じる方が多いのではないでしょうか。

数値を小さくして計算するとPGを10頭に投与したら、そのうちの6.3頭に授精して、3頭受胎します。

PGをよく使っている方は、この数値と比べてみましょう

この数値に近ければ問題はないと考えられます。しかし、この数値とかけ離れているようでしたら、今一度、PGの使い方について考えてみましょう!!!

実際のPG受胎率(良くない事例)

農家別のPG投与頭数・受精率・受胎頭数・受胎率

この図は農場別のPG受胎率を比較したものです。調査は先ほどの大規模調査のデータを1/100にしています。調査とA・B・Cを比較してご覧下さい。調査と比較して緑棒の授精率は高い傾向にありますが、肝心の青棒の受胎頭数と赤棒の受胎率は極端に低くなっています。

これはPGを投与したら3日後に授精する!といった授精することに集中し受胎率を考慮していない良くない事例の一つです。実はわたくしの失敗事例です。

A・B・Cをまとめて計算すると、PG投与頭数:278頭、授精率76%、受胎頭数41頭、受胎率20%です。この事例を参考にPG投与によるメリット・デメリットを考えていきます。

PG製剤のメリット・デメリットとは

  • PG投与によるメリット
    • 発情が分からない牛へ授精ができる
    • 発情期間を短縮する事ができ発情発見の手間が省ける
    • 10頭に授精したら6.3頭に授精でき3頭受胎する
      • 受胎率40%程度が見込める
  • PG投与によるデメリット
    • PGを投与し授精することに集中すると低受胎率が起こる
      • 対策1:発情を発見した牛のみ授精する
      • 対策2:PGを投与するタイミングを計る
      • 対策3:PGに他のホルモン剤を加え受胎率向上を計る
    • 牛群の成績が悪くなることもある
    • 経費がかかる

メリットは冒頭から述べた通り、発情が分からない牛に授精ができることです。一方、デメリットとその対策を考えていきましょう。

まず始めに、PGを投与し授精することに集中すると低受胎率が起こる。これは、繁殖健診等を実施して、一生懸命PGを投与して、発情発見の有無に関わらず数日後、習慣化して授精するケースに多いと考えられます。授精率はあがるが受胎率は下がります。

 対策1 本来のPGは発情を見付けるためのツールです。本来の使用目的通り、PG投与後は発情行動をよく観察して、兆候があった牛のみ授精する。もともと発情を示しにくい牛なので、授精率が極端に低下して何の為にPGを投与するのか?本末転倒となり経費がかさむ可能性もあるので注意が必要です。

 対策2 牛の発情周期は21日間の中で2~3回の卵胞ウェーブが起ります。このうちの1回目の卵胞ウェーブでPGを投与すると黄体退行率が下がり受胎率が低下します。エコーを利用して1回目の卵胞ウェーブを避けて排卵に向かいそうな主席卵胞と充実した黄体があるときにPGを投与する。1回目の卵胞ウェーブ時はオブシンクプログラムを使うといいでしょう。

 対策3 PGに他のホルモン剤を加え受胎率向上を計る。PG単独投与ではどうしても排卵のタイミングがバラツキますので、授精する前に排卵させるホルモン剤を投与します。簡易な方法にショートシンクプログラムがあります。PGを投与した2日後の夕方に排卵剤(GnRH)を投与して翌朝に授精するプログラムです。PG受胎率が低いようでしたら、まずはショートシンク!試す価値ありです!

続いて、牛群の成績が悪くなることもある。PGを使う=発情が分からないから。この状況でPGの低受胎率が起っているとどうなるでしょう。PGを使って授精すると、妊娠鑑定まで発情を示す可能性が低いので妊娠鑑定で不受胎の牛が増えます。妊娠鑑定をしたら半分以上が不受胎といったケースも起こりえます。

先ほどの授精率73%、受胎率20%で考察してみます。10頭の牛にPGを投与して7頭に授精すると、1.4頭受胎する計算になります。最悪のケースでは1頭しか受胎しないかもしれません。つまり、7頭授精したうちの6頭は不受胎なので妊娠鑑定(仮に40日で実施)まで待つと6頭✕40日で240日分をロスすることにつながります。これは農場の繁殖を改善するにあたって、むしろ負の影響を与えると考えられます。

最後に経費がかかる。PGはとても便利な薬である一方でもちろん経費がかかります。薬品代、治療代、授精代、精液代、牛を保定する手間など。人件費等は考慮せず、PGを投与すると保険治療を使えばおおよそ5,000円かかります。これに授精代+精液代を加えると約10,000円の経費がかかります。10,000円かけた経費の20%しか受胎しないとなると、50,000円かけてやっと1頭受胎する計算になります。

まとめ

  • PG投与後1~5日目に発情がきて、一般的な授精率は63%、受胎率は44%
  • PGの低受胎率が起こっていなか受胎率をチェックしましょう
  • 受胎率を上げる方法について解説

良かれと思いPGを投与しても、背景に低受胎率が起こっていると農場の成績は中々あがらないでしょう。分析を怠っていると返って負の影響を与えているケースもあります。いまいちど、PGの受胎率を参考にPGの使い方を考えてみましょう。

発情が分からない牛に最も使用されるPG、そして、その受胎率!分娩間隔400日を切る為にはとても大事です。

PGが投与できるということは、繁殖サイクルが回っていることの裏返しでもあります。いまいちど発情を発見するといった基本に立ち返ってみるのもいいかもしれません。

最終目標はPGを使わないで分娩間隔400日を切る!!です。

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