長期不受胎牛をなんとか受胎させる!

受胎促進
  1. ファストバックプログラム
  2. 受精卵移植
  3. 追い移植
  4. 薬液注入
  5. 自然発情 

長期不受胎牛へ対する受胎促進の代表的手法です。

難易度の低い順に記載しております。あの手この手を使って長期不受胎牛を減らしていきましょう!

1.ファストバックプログラムは授精後5日目にシダーやイージーブリードを14日間留置する方法です。授精後5日目の黄体ホルモン濃度を受胎した牛と受胎したかった牛で比較した論文によると受胎した牛は5日目の受胎に有利に働く黄体ホルモンが有意に高いことが分かっています。シダーを留置することによって直接黄体ホルモン濃度を上げることができます。早期胚死滅の予防や胚発育促進等の効果があり、発情周期が明瞭に来る牛、太っている牛、分娩して150日以上たっている牛には特に有効だと思います。また不受胎ですと、シダーを抜いた後3日以内に高確率で発情行動を示しますので、回帰発情の発見にもつながります。是非、試してみてください。

余談、最後のチャンスと考えている牛は妊娠鑑定するまで挿入するのも一つの方法です。結構、受胎しますよ。妊娠鑑定するまではちょっと不安な方はシダーを挿入したまま、授精後20日程度で黄体を確認して黄体があれば挿入したまま、黄体が退行していたらシダーを抜くのもありです。お試しあれ!

2.受精卵移植は発情終了後7日目もしくは8日目に受精卵を移植する方法です。子宮に問題がなく卵管閉鎖等により受精障害が存在するような場合は受精卵移植によってクリアできる可能性があります。普通の人工授精より移植料・受精卵代など多少の費用はかかりますが、和牛の受精卵子牛が生まれてきた場合は付加価値も高く移植経費をまかなうことができます。

加えて、発情後5日目にHCG製剤を投与して副黄体を作成し、黄体ホルモンが高濃度に分泌される子宮環境下を作っておくと移植の受胎率が向上します。下の画像は排卵後5日目にHCGを投与して副黄体を形成した写真です(移植時に撮影)。

副黄体は主黄体よりもやや小型であることが多い

3. 追い移植は普通の人工授精に加え、7日目もしくは8日目に受精卵移植をする方法です。牛が受胎するためには受精卵から放出されるホルモンが必要です。本法は人工授精由来の受精卵と移植由来の受精卵が1つずつ計2つあるので、受精卵由来のホルモンが倍増し妊娠に有利に働きます。下の写真はホルスタイン種を人工授精した後にF1受精卵移植して、ホルスタインとF1が生まれてきたものです。本法は双子になる可能性、雄・雌が生まれるとフリーマ-チンになるので種には十分ご注意ください。

4. 薬液注入は授精して排卵確認後に子宮内に薬液を注入する方法です。子宮内膜炎や受精卵の着床障害がある牛に対して有効と考えられます。注入する薬剤には

  • イソジン(希釈したもの)
  • 高調ブドウ糖液
  • 子宮内注入用抗生物質

10回以上授精してもなかなか受胎しない牛に薬液注入をしたら、あっけなく受胎したこともあります。薬液注入の効果は十分に解明されてはいませんが、なにかあるのでしょう。

授精業務を行っていない獣医師は、この薬液注入を嫌がります。わたくしもその1人です。頸管をちゃんと通すことができるかなぁ。頸管を通らなかったらどうしよう。などなど不安がつきまといます。ですが、やっていけば必ずできます。実施する数が少ないだけ!ガンガントライして、できない時は上司もしくは授精師さんにお願いしましょう!!!頑張って技術を身につけて下さい。

授精回数4回以上、なかなか受胎しない。授精師さんも困っている。そんなとき、希釈したイソジン(わたしは注射用水40mlにイソジン10ml)注入して受胎したら、酪農家さん・授精師さんとのコミュニケーションはバッチリでしょう(笑)

5. 最後は基本的な方法ですが、自然発情を見つけて授精する方法です。発情を示さない牛はホルモン剤に頼ってしまいがちです。しかし、どういうわけかホルモン剤を投与した場合なかなか受胎しない、排卵しないで嚢腫になるケースがあります。特に発情周期が長い牛に効果があると思います。牛本来の周期を人為的に短縮せず、丁寧にその牛の発情周期を探って授精してみて下さい。時間と労力はかかりますが、受胎した時の喜びは大きいです!

以上、長期不受胎牛を受胎促進の数例です。1頭でも多くの長期不受胎牛が受胎しその後農場で活躍することを願っております。

実際の長期不受胎牛への対応事例はこちらの記事を参考に!

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