PG投与の極意

受胎率

過去の記事でPGのメリット・デメリットを述べました。

なるべく自然発情を見つけるシステム作りをし、PG授精を減らしたい思いはありますが、授精できない状況が続くとそうも言ってられません。

そこで、PG投与による受胎率を上げる方法をお伝えしていきます。

私たちに求められるPG投与の条件は

  • PG投与後3日目に発情がくる
  • 授精率80%以上
  • 高い受胎率

農家さんからは、上記のようなことが求められているのではないでしょうか。

わたしはそう思っています。

PGは発情周期の6~16日目に投与せよ!本当?

上の図は2ウェーブ牛の発情周期(21日間)の黄体(Progesterone)、卵胞ウェーブ(1stWave・2nnWave)とホルモンの動き(PGF2α・Estradiol)を示しています。

教科書にはPGは発情周期の6~16日目に投与すること、と書いてあります。

赤い点線の➡で示した時期です。

確かに黄体が存在するタイミングでPGを投与すれば発情はくると思いますが、投与時の卵胞サイズに影響されるので発情までの日数はばらつきます。

また、過去の報告から1stWaveの卵胞を排卵させて授精する受胎率が下がることが分かっています。

ですので、1stWaveの卵胞は避け、2ndWaveの卵胞を狙って排卵させることが重要です。

ではどうやって、2ndWaveの卵胞を狙うか!

これには、超音波検査が必要です。

上の図をよく見て頂くと、1stWave時は主席卵胞が1つしか存在したいのに対して、2ndWave時は主席卵胞が2つあることが分かります。つまり、主席卵胞サイズが2つ以上有るときを狙います。

卵胞は1日1.5mm成長!排卵する卵胞は15~20mm!

DFは主席卵胞のことです。卵胞は8.5mm以上に成長すると主席卵胞となります。この主席卵胞が15~20mmに成長し黄体が退行すると排卵に至ります。ここでは主席卵胞が18mmで排卵すると仮定しましょう。

1stWaveの主席卵胞が18mmに成長してもProgesteroneが高いと排卵には至らず、退行し10日目から新たな主席卵胞が成長してきます(2ndWave)。

この主席卵胞はおおよそ1日1.5日成長し18mmで排卵します。

例えば、10日目にPGを投与すると主席卵胞は9mmなので、この主席卵胞が排卵するまでに少なくとも4日程度は要することになります。9mm+1.5mm✕4日=15mm。

このようにPG投与時の主席卵胞のサイズによって発情行動までの日数が決まります。

3日目に発情が来るためには排卵に向かう主席卵胞サイズが12mm以上あることがいいでしょう。

12mm+1.5mm✕3日=16.5mm(排卵に至るサイズに成長します)

厳密に言うと排卵に近づくにつれて卵胞の成長速度は速まります。

主席卵胞は9mm以上、卵胞の成長速度は1日1.5mm、排卵に至る主席卵胞は15~20mmです。

これを覚えてください。

3日目に発情が来る最適なPG投与タイミングは?

わたくしは、2ウェーブ牛は10日から16日程度と予測しています。

赤点線の→で示したタイミングです。

先ほどまでの理論をまとめると

  1. 充実した黄体(27mm以上)が存在する
  2. 主席卵胞が二つあり1つは12mm以上

3ウェーブ牛は

わたくしは3ウェーブ牛は9日~17日程度と予測します。

3ウェーブ牛は発情期間が1~2日長くなるため、2ウェーブ牛よりもう少しPGの投与期間が延長されます。下の図は2ウェーブ牛ですが、3ウェーブ牛と見立てて赤点線の→を引いています。

PG投与の基本的事項

高泌乳牛はホルモン代謝が早いため用法に従った最大投与量を投与することをおすすめします。その他の注意点は下記の通り

  1. PGは最大投与量でおこなう
  2. 確実に筋肉注射するため長い針で行う(短針は皮下注射になる恐れがある)
  3. 1.2を実施しても黄体退行が悪い時はPGの2回打ちを行う(初日3ml・翌日3mlと分ける)

ホルモン剤に頼った農場の1例

なかなか、自然発情を発見できない農場も少なくありません。

下のグラフは農場の総授精の半分をホルモン剤に頼っている農場の授精方法別の受胎率です。

PG投与による受胎率を赤字で示しています。

自然発情の受胎率は46%に対して、

PG投与後3日目の受胎率は54%(34/63)

PG投与後2日目の受胎率は60%(3/5)

PG投与後4日目の受胎率は78%(7/9)です。

PG3日目に授精を集中させ、自然発情よりも高い受胎率を出すことができる農場もあります。

まとめ

以上、PG投与による受胎率を高めるためには

一番大切なことは、卵胞ウェーブを十分理解し、適切な時期に投与する!

その他の点は

PG投与に必要なこと

超音波検査を行い1stWaveを避けて、2ndWave・3rdWave時に投与する

12mm以上の主席卵胞存在時に投与する

確実に筋肉注射を行う

授精率と受胎率を分析し状況に応じて、PG2回打ち・ショートシンクプログラムに変更する

今まで、なるべく自然発情を見つけて授精することに重きをおいていますが、PG投与が必要な農場も少なくありません。ただし、PG授精に頼ると回帰発情の発見率が落ちる点も注意して下さい。

PG投与による授精で高い受胎率を出すことは農場の繁殖管理を容易にすることも事実です。

PG投与後3日目に授精、高い授精率そして高い受胎率!

PG投与のタイミングを極めよ~!

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