育成管理は大丈夫ですか?授精適期を過ぎた牛が農場の片隅で見過ごされていませんか?
適切な授精適期に育成牛を妊娠させることは、来年の農場経営を安定化させるためにとても大切です。
14ヶ月齢で受胎させ24ヶ月で出産!!!これが基本の形です。
日本飼養標準では22~24ヶ月分娩で初産時の乳生産量が高くなると示されています。
つまり、12ヶ月齢で初回発情を示し13ヶ月齢から14ヶ月齢で授精する。
この2ヶ月間に全ての育成牛を受胎させる意気込みが大切です。
育成牛が順当にあがってこないと、早く出したい経産牛を泣く泣く搾るしかありません。これは負のサイクルに片足を踏み入れている状況です。
いますぐにでも、脱却しましょう。
搾乳牛と違って、育成牛の繁殖管理は簡単です!
それでは、みていきましょう。
育成管理の失敗:4選
- 不十分な栄養:成長段階に適した栄養が提供されていない場合、育成牛の成長が阻害され、卵巣発育不全が起こり、授精適期には卵巣静止になります。卵巣が動かないと当然発情行動は起こりません。13ヶ月を過ぎても極端に小さい育成牛群が時折散見されます。ホルモン剤を投与しても対応できません。しっかり粗飼料と配合飼料をあげてください。この問題を遡ると哺乳期・離乳後が問題になっているかもしれません。
- 不適切な環境:限られたスペースや不衛生な環境で飼養されている。定期的な除糞が行われていないため、牛の腹にはウンチの鎧が付着している。たまに、育成牛が野ざらしになっているケースもあります。このように牛が汚れている状況では、牛は乗駕行動を起こしません=つまり発情発見できません。
- 授精対象牛が不明瞭:妊娠牛と授精対象牛が同居していると発情発見が困難となります。要は授精対象牛を瞬時に把握することができません。また、月齢の若い牛はいじめられ、十分な栄養を取れないことも想定されます。
- 授精適期を過ぎた育成:14ヶ月が最適な授精適期とすると15・16ヶ月と年を取って行くと、体に脂肪が付き過肥となり受胎しにくくなります。月日の経過は早いものです。授精適期の二ヶ月間の大切さを再認識してください。
改善案
- 栄養面:12ヶ月齢で発情行動を起こさない場合は何か問題があるでしょう。12ヶ月齢で子宮卵巣のチェックを行い卵巣が動いていない場合は飼養管理を見直してください。
- 環境面:牛が発情行動を起こしやすい環境を考えることが大切です。寝る場所(ベット)は餌を食べる高さより一段あがったが所にあるといいでしょう。つまり、牛の腹にウンチの鎧がつかない環境をつくってあげればOKです。牛が汚れない程度に適宜の除糞も大切です。牛が汚いと授精する人も億劫になってしまいます。もちろん、牛自身も乗駕行動が億劫になるでしょう。そして、牛が汚れていると発情行動を示したのかとても分かりにくくなります。
- 授精対象牛群を作る:できれば受胎している牛と不受胎牛を分けて管理して下さい。不受胎牛群だけを作成できれば、繁殖管理は格段に楽になります。できるのに、この群分けが面倒で同居している農場も散見されます。そのような場合は繁殖検診が済んだら、すぐ移動させましょう!関係者がちょっと手伝えばすぐ終わるケースがほとんどではないでしょうか?
- 授精適期の重要性を説く:14ヶ月齢で受胎させないと、その後は極端に受胎しにくくなり、未経産のリピートブリーダーを生むことになります。牧場の方や従業員さんと適期授精の重要性・発情発見の大切さを共有してください。
発情発見道具を使う

環境と栄養が整えば後は発情を見つけて授精を行うだけです。
未経産の受胎率は経産牛と比較してとても高いです。

上記は育成の受胎率です。%Concの下段TOTALSを見て頂くと56%となっています。
未経産の受胎率は50~60%は見込めます。この受胎率より低い場合はなにか問題があります。
受胎率50%と仮定すると2頭に1頭は再発情が来ます。
初回授精を見つけ、再発情を効率的に見つけ42日前に妊娠鑑定することが大切です。
上の写真は発情発見につかうマーカーです。
左からテイルチョーク:舎飼いで消えるまで5日程度、テイルペイント:消えるまで1ヶ月程度、テイルスプレー消えるまで2週間程度、マーキングスプレー(安価):消えるまで3日程度になります。
この他には、乗駕したら赤い印が付くヒートマウントディティターや万歩計等もあります。
未経産は環境・栄養・発情発見する時間さえ確保されていれば繁殖管理はそれ程難しくないので万歩計といった活動量計を装着している方は少ないように感じます。
農場によって使い勝手が良い道具は異なるので、いろいろ試してみると良いでしょう!
テイルペイントの使い方
わたしは、1週間から2週間で発情が来そうな牛には青マーカー
PG投与牛は赤マーカー。
もうすぐ発情がきそうな牛は黄色マーカー。
妊娠していたら緑マーカーといったように色を使い分けています。
牧場の発情発見に携わる方と色の意味を共有しておくことが大切です。
まとめ
育成牛は、14ヶ月齢で受胎させ24ヶ月で出産!!!これが基本の形です。
これが実現されていないと農場にとって飼料費コスト・管理コストが増加します。
以下の点をチェックしてみて下さい。
ステップ1:12ヶ月齢で卵巣が正常に動いているかチェック➡NOの場合は飼養管理
ステップ2:発情が来ない➡乗駕行動を起こしやすい環境整備
ステップ3:育成牛の群構成を見直す➡受胎牛と不受胎牛を分ける
ステップ4:授精適期に受胎させる➡繁殖検診を通して発情発見のどこに問題があるか考える
以上、育成牛群の管理はちょっと改善するだけで劇的な効果が生まれます。
育成牛が計画通りに上がってこない場合、育成管理を見直してみましょう。
育成牛が牧場の未来を変えます。
14ヶ月以内に全頭受胎させるぞぉ!!



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