十分なエストロジェンを分泌されることが繁殖管理を成功させる真髄だと述べました。
では、このエストロジェンは一体なにから作られるのでしょうか?
答えはコレステロールです。コレステロールが色々な過程を経てエストロジェンというホルモンに合成されます。

写真の一番左上にあるのがコレステロールです。
コレステロールは生体にとって必要不可欠な物質で、細胞膜の形成成分として細胞や組織の構造維持に利用されたり、生体内の様々な活動を調整するステロイド系ホルモンの材料になります。
コレステロールが様々な代謝を受けて、写真の右下のエストラジオール(18)が生成されるのです。
ちなみに、プロジェステロン(21)は受胎するためにとても大事な黄体ホルモンです。
また、(22)のコルチゾールはストレスホルモンと言って、牛はストレス環境下にいると繁殖に必要なホルモンよりも、このストレスに適応するためのコルチゾールを多く生成する必要があります。
ストレス環境下では自分の身を守るためにコルチゾールを沢山生成しなければならないので、繁殖なんてやってる場合じゃないんです。
牛の血中コレステロール濃度は、乾物摂取量や摂取エネルギー量に関連していることが知られおり、牛のエネルギー摂取状況が良くなれば、血中コレステロール濃度が増加します。
さて、牛は、何からこのコレステロールを得ていると思いますか?
コレステロールの起源は酢酸
酢酸と聞くと何を思い浮かべるでしょうか?
そうです。牛のエネルギー源のVFAですね。
牛の第一胃に住んでいる微生物による分解過程で、セルロースやヘミセルロースといった多糖類が揮発性脂肪酸(VFA: Volatile Fatty Acid)として発酵されます。主なVFAとして酢酸、プロピオン酸、酪酸があります。
基本的には
・プロトゾア(原虫)や繊維分解菌は繊維を酢酸発酵でコレステロールの原料に
・デンプン分解菌や糖類分解菌はプロピオン酸を生成し糖新生を経て血糖値を上昇させます
つまり、酢酸を増やすためには原虫や繊維分解菌を健康に養って(ルーメンを健康に)、十分な粗飼料を給与することが大切になります。
牛の第一胃に住んでいる微生物はルーメンPH6.5付近が一番住み心地が良いそうです。
穀物を過給しルーメンアシドーシスの状態になると原虫やプロトゾアは正常な活動ができなくなってしまいます。多少のルーメンアシドーシスの状態ではデンプン分解菌や糖類分解菌は活動できます。
余談:第一胃(ルーメン)は食道が形を変えたものです。ヒトと同じ胃の機能は第四胃にあります。草を乳や動物性タンパク質に変えることができるウシですが、実は第一胃に住んでいる微生物がこの役割を担っています。
エストロジェン濃度が上がれば発情が分かる!
発情が見つけられない!見つからない!そのため一日4回発情をする。それでも発情が見つからない。
この問題を根本的に解決するためには、
誰でも発情が分かるような健康な状態で牛を飼う!!
そのためにはエストロジェンを十分に出させる。
エストロジェンを十分に出させる為にはコレステロールが必要。
コレステロールを高める為には粗飼料を十分に給与する。
粗飼料を効率良く分解吸収するために第一胃の微生物を健康に!
要は、粗飼料をしっかり食わせることです(笑)
明瞭な発情をこさせる飼養管理(粗飼料を食わせる)こそが繁殖管理の神髄です。
まとめ
配合飼料が今の様には簡単に手に入らなかった時代はウシの発情が分からなくて困ったことが無いそうです。しかし、配合飼料が簡単に手に入る時代に入ると、配合を多給すると面白いように乳は出る、、配合飼料の魅力に取り付かれていったと聞きました。
遺伝的な要因もあると思いますが、乳量と引き換えに繁殖管理は非常に困難な時代に突入です。
また、配合飼料を極限まで給与すると共に、ウシの健康は損なわれていったそうです。牛舎仕事は多忙、ヒトの時間は奪われ、ウシを飼っているのか、ウシに飼われているのか、分からない時代に。
話をそれましたが、
明瞭な発情を来させる為にはエストロジェンが必要です。
このエストロジェンの起源は良質な粗飼料です!



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