妊娠鑑定は通常、人工授精(AI)後約28日から行われます。エコー(超音波検査)を用いることで、この時期から妊娠の有無を確認することが可能です。もちろん、慣れや技術力によって早期に妊娠を判定することも可能ですが、誤診の可能性も高くなります。
私が就職した当初は、自分自身の技術力が低かったため、妊娠鑑定は60日後から触診で行っていました。就職してすぐに妊娠鑑定の診療依頼が入って、実際に農場に行ってやってみたものの、全然分からない、、半べそをかきながら診療所に戻った記憶があります。
今では、エコーという道具があるので技術レベルの差は極端に無くなったと思います。しかし、エコーがない時代は、触診で羊膜嚢を感じ取るという技術が30日を越えてから妊娠鑑定できる技術として最高峰でした。
妊娠鑑定の最適時期
結論は
「42日以降の妊娠鑑定の価値は、42日以前に行う妊娠鑑定の価値の半分しかならない」
要は、授精後2サイクル(21日サイクル✕2)までに妊娠鑑定を行い、2サイクル目で授精しましょう!ということです。
さて、かつて60日から妊娠鑑定をしていた時期について、実際に考えてみましょう。
触診による60日妊娠鑑定
かつてのわたしが60日から妊娠鑑定をしていた内容について、実際に考えてみましょう。
| 触診による60日妊娠鑑定 | ||||||||||
| 牛 | 現在の発情 | 1週間 | 2週間 | 3週間 | 4週間 | 5週間 | 6週間 | 7週間 | 8週間 | 9週間 |
| 1 | 20日目 | 27 | 34 | 41 | 48 | 55 | 62 | 69 | 76 | 83 |
| 2 | 19日目 | 26 | 33 | 40 | 47 | 54 | 61 | 68 | 75 | 82 |
| 3 | 18日目 | 25 | 32 | 39 | 46 | 53 | 60 | 67 | 74 | 81 |
| 4 | 17日目 | 24 | 31 | 38 | 45 | 52 | 59 | 66 | 73 | 80 |
| 5 | 16日目 | 23 | 30 | 37 | 44 | 51 | 58 | 65 | 72 | 79 |
| 6 | 15日目 | 22 | 29 | 36 | 43 | 50 | 57 | 64 | 71 | 78 |
| 7 | 14日目 | 21 | 28 | 35 | 42 | 49 | 56 | 63 | 70 | 77 |
| 8 | 13日目 | 20 | 27 | 34 | 41 | 48 | 55 | 62 | 69 | 76 |
| 9 | 12日目 | 19 | 26 | 33 | 40 | 47 | 54 | 61 | 68 | 75 |
| 10 | 11日目 | 18 | 25 | 32 | 39 | 46 | 53 | 60 | 67 | 74 |
| 11 | 10日目 | 17 | 24 | 31 | 38 | 45 | 52 | 59 | 66 | 73 |
| 12 | 9日目 | 16 | 23 | 30 | 37 | 44 | 51 | 58 | 65 | 72 |
| 13 | 8日目 | 15 | 22 | 29 | 36 | 43 | 50 | 57 | 64 | 71 |
| 14 | 7日目 | 14 | 21 | 28 | 35 | 42 | 49 | 56 | 63 | 70 |
| 15 | 6日目 | 13 | 20 | 27 | 34 | 41 | 48 | 55 | 62 | 69 |
| 16 | 5日目 | 12 | 19 | 26 | 33 | 40 | 47 | 54 | 61 | 68 |
| 17 | 4日目 | 11 | 18 | 25 | 32 | 39 | 46 | 53 | 60 | 67 |
| 18 | 3日目 | 10 | 17 | 24 | 31 | 38 | 45 | 52 | 59 | 66 |
| 19 | 2日目 | 9 | 16 | 23 | 30 | 37 | 44 | 51 | 58 | 65 |
| 20 | 1日目 | 8 | 15 | 22 | 29 | 36 | 43 | 50 | 57 | 64 |
| 21 | 0日目(今日授精) | 7 | 14 | 21 | 28 | 35 | 42 | 49 | 56 | 63 |
牛群に21頭の牛がいて1番から21番まで毎日1頭ずつ授精し、今日、21番の牛に授精をして全頭に授精を終えたとお考えください。そうすると、1番目の牛は授精後20日目になります。
さて、この21頭の牛すべての妊娠鑑定を終えるのはいつになるでしょうか?
21番目の牛が妊娠鑑定できるのは9週間後になります。二週間に1度の検診にすると最長で10週間後になります。どうでしょうか?
授精して妊娠鑑定するまで約2ヶ月待てますか?待てませんよね。待てる方は、繁殖に自信をお持ちか、全く興味無いか。。
むかしは、これでも良かったんです、なんででしょうかね。
1番目の牛が妊娠していなかった場合、その情報を知るまでには約2ヶ月、つまり60日ほどかかることになります。その間に、その牛は3回の発情を経験し、それらの機会を逃してしまいます。更に、もしも卵巣や子宮に問題があった場合、その治療にさらに時間を要します。
このように見てみると、早期の妊娠鑑定がなぜ重要であるかが理解できます。より早く妊娠の有無を確認し、必要に応じて再授精や治療を行うことで、牛一頭一頭の健康と生産性を保つことが可能になるからです。
エコーによる26日から妊娠鑑定
それでは、一般的に行われているエコーを用いた26日からの妊娠鑑定を考えてみましょう。
下の写真は授精後27日令の胎子です。

| エコーによる26日妊娠鑑定 | |||||
| 牛NO | 現在の発情 | 1週間後 | 2週間後 | 3週間後 | 4週間後 |
| 1 | 20日目 | 27 | 34 | 41 | 48 |
| 2 | 19日目 | 26 | 33 | 40 | 47 |
| 3 | 18日目 | 25 | 32 | 39 | 46 |
| 4 | 17日目 | 24 | 31 | 38 | 45 |
| 5 | 16日目 | 23 | 30 | 37 | 44 |
| 6 | 15日目 | 22 | 29 | 36 | 43 |
| 7 | 14日目 | 21 | 28 | 35 | 42 |
| 8 | 13日目 | 20 | 27 | 34 | 41 |
| 9 | 12日目 | 19 | 26 | 33 | 40 |
| 10 | 11日目 | 18 | 25 | 32 | 39 |
| 11 | 10日目 | 17 | 24 | 31 | 38 |
| 12 | 9日目 | 16 | 23 | 30 | 37 |
| 13 | 8日目 | 15 | 22 | 29 | 36 |
| 14 | 7日目 | 14 | 21 | 28 | 35 |
| 15 | 6日目 | 13 | 20 | 27 | 34 |
| 16 | 5日目 | 12 | 19 | 26 | 33 |
| 17 | 4日目 | 11 | 18 | 25 | 32 |
| 18 | 3日目 | 10 | 17 | 24 | 31 |
| 19 | 2日目 | 9 | 16 | 23 | 30 |
| 20 | 1日目 | 8 | 15 | 22 | 29 |
| 21 | 0日(今日授精) | 7 | 14 | 21 | 28 |
26日からの妊娠鑑定はさすがに早いですね!21番目の牛の授精を終えた1週間後には1番目・2番目の牛の妊娠鑑定が始まります。
21番目の牛が妊娠鑑定されるは4週間後になります。2週間に1度の検診を想定すると5週間後にはすべての牛を鑑定することができ、42日以内に妊娠鑑定を行うことができます。
繁殖の改善は適切な時期に妊娠鑑定を行い、不受胎の場合は42日の周期めがけて授精を行うことです!!!
究極の妊娠鑑定
今まで数件の農場で妊娠鑑定を行わない農場に出会ったことがあります。妊娠鑑定をしない理由は、受胎していない牛は、畜主が外から見たら分かるから!
受胎していなければ、発情を示す牛たち。そして、その発情を見つける能力があるのです。
どうでしょうか?妊娠鑑定を行わないで乾乳して分娩を迎えることはできますか?
僕が畜主でしたら不安にかられ無理ですが、このような農場もあるんです。
繁殖の究極形は直腸検査1回(人工授精)で完了することかと思います。
まとめ
42日以降の妊娠鑑定の価値は、42日以前に行う妊娠鑑定の価値の半分しかならない
妊娠鑑定は、その結果に基づいて次の授精のタイミングを計画したり、その他の必要な対策をとるために非常に重要で、経済的な観点からも生産効率の観点からも非常に価値があります。
授精後42日目に妊娠鑑定を行い、妊娠していない場合はすぐに再授精を行うことが理想的です。 これにより、可能な限り早く妊娠の機会を得ることができ、牛の繁殖サイクルを最大限に利用することができます。
きっと、みんなさんは妊娠鑑定にお金を払っていると思います。
それは、妊娠鑑定にはお金を払う価値があるから!
授精後42日以前に妊娠鑑定をして、速やかに再授精するぞぉ!



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