VWPを制する農場は繁殖を制す!

発情発見

VWPという言葉を聞いたことはありますでしょうか?

Voluntary Waiting Period=「生理的空胎期間」「自発的授精待機期間」といったり、つまり産後の子宮や卵巣の回復期間です。

この期間を一般的には40~70日程度に設定しているかと思います。

実際には設定していなくても出産後30日程度の発情に授精しても受胎しない感覚はお持ちではないでしょうか。この授精しても受胎しない、もしくは極端に受胎しない期間をVWPと設定するのです。

VWPを感覚的にお持ちだと思いますが、これを実際に分析してみると面白い傾向がみえてきます。

正直、VWPはとても重要です。農場の傾向を参考に、勉強していきましょう。

VWPの意義

VWPを設定することは、

待機期間を過ぎた牛全てに、25日以内に授精する強い意思表示です。かつ、高い受胎率を!

VWPを設定していないと分娩後にメリハリのない授精が起こり、分娩して100日以上経過したり、極端に早い授精が発生し、授精戦略が設計されません。

VWPは特に設定していない 理想型

VWPなんて設定しなくてもうまく回っているケースです。

このグラフは縦軸に分娩後日数(DIM)横軸は時系列になっており、一年間の初回授精を分娩後何日で行ったかをプロットしてあります。

赤のドットが初産、青のドットが2産、緑のドットが3産以上を示しています。

一見、変哲もないように感じるかもしれませんが、DIMをみて下さい。50日以内にほとんど授精をしており、おそくても100日、平均すると67日です。しかも、治療はほとんど行わず牛群の授精の95%は自然発情です。

さらに、その受胎率は50%を超えています。

どうでしょうか?ホルモン剤に頼らず自然にくる発情に任せ、初回授精を50日程度で完了させ受胎率50%以上。牛群の総合評価を示す妊娠率は25%以上です。

この様なケースは、VWPを特に設定しない自然に任せた理想型の様な感じがします。

VWPは特に設定していない 繁殖に問題があるケース

分娩後35~150日と初回授精が非常にばらついている

分娩して100日を超えて初回授精を迎えている牛が全体の30%くらい存在しています。一方で、40日より前に授精している牛も散見されます。これは繁殖に不安のある農場でみられる現象で、次の発情がいつみつけられるか不安のある場合にみられます。

このようなケースで問題となるのは、分娩して100日以上経過しても30%もの牛が授精されていないこです。加えて、分娩して40日未満の授精は極端に受胎率が低いのが一般的です。

平均受胎率は20%です。

この様なケースは、まずはVWPを遅めに設定(70日程度)して100日以上で授精しているの牛を割合を減らしていきます。

初回授精が35日から150日にばらついている

こちらも授精がばらついていますが、よくみると50日前後と100日前後に集中しています。

平均初回受胎率は31%。

このような場合は分娩日数別の受胎率も参考にします。

分娩後1~49日の%Conc(受胎率)は20%と定値です。一方90~109日の受胎率が46%と一番高値を示しています。

たとえばVWPを90日に遅らせる選択肢もありますが、VWPを遅らせるとういことは、その後より一層の発情発見をする必要がありますので、失敗すれば繁殖問題がより顕著になる危険性も兼ね備えています。

やはり、このケースも初回授精日数を70日前後で行い、受胎率は30%なので、残りの70%は90日前後に回帰発情が来る計算になります。一番高い受胎率が得られる回帰発情に全神経を集中させて発情発見をおこなうといいでしょう。

VWP後に速やかな授精を行っているが、問題あり!(VWP50日)

ほぼ全ての牛の初回授精を100日以内に終えて平均の初回授精日数は70日程度とまずまずな感じに収まっています。

残すは「かつ高い受胎率を!」です。

その、初回受胎率は14%です!

繁殖検診を行って初回授精日数を良い感じに納めていますが、受胎率が伴っていません。

授精回数別の受胎率をみると特に1回目の受胎率が14%と定値ですが、2回目もしくは3回目の受胎率もあがってきません。

初回授精を遅らせても、初回受胎率はそれほど上がる見込みがありません。

このようなケースは栄養状態に問題があることが多いので、まずは飼養管理を見直すことから始めないと一生懸命繁殖検診をしてVWP後に初回授精を行っても結果がついてきません。

繁殖治療だけではVWPをコントロールできない!定時授精の有効性

まずは左側をご覧下さい。VWPを40日と設定しています。

2週間間隔でフレッシュチェックを行い分娩後40日から繁殖治療を行っていますが、卵巣や子宮の状態に左右され40日~61日の間に半分程度の牛しか授精できてないことがわかります。極端に初回授精が遅れる牛も散見され、平均すると70日前後になり、平均初回受胎率は31%です。

一般的な治療だけではVWP経過後に速やかな授精を行うことは困難なケースです。

そこで、初回授精をプログラム授精に変更しました。右側の方を見て頂くと70日前後に集約されていることが見てとれます。この期間の70日前後で授精できなかった牛は1頭だけです。以前の記事にでてきたダブルオブシンク法です。初回授精をダブルオブシンク法に変更した記事はこちらを参考に。

ダブルオブシンク法の初回受胎率は39%に上昇。

VWPを70日に設定し、初回受胎率の改善は牛群の繁殖パフォーマンスに与える影響は甚大でした。

まとめ

VWPの設定は牧場の繁殖を左右する極めて重要な要因となります。

VWPを設定するといことは、「待機期間を過ぎた牛全てに、25日以内に授精する強い意思表示です。かつ、高い受胎率を!

これから紹介する最後のグラフは非常にバランスの取れた状態の牛群です。

VWPは40日に設定。平均初回授精日数は65日、その受胎率は44%。妊娠率は20%以上です。

牛群の管理、効果的な発情発見、繁殖治療診断によって、最終的に行き着く形態はこのような状態かなと思っています。もしくは、一番最初に紹介した”VWPは特に設定していない 理想型”の農場かと思います。

VWPの意義を理解しVWPを制したら、繁殖管理は制したものです!

是非とも理想的な最終形態に近づけましょう!

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