オブシンク法を成功させる秘訣は、開始時期と卵巣周期が正常に機能していることです。発情周期に関係なくオブシンクを開始すると、2回目のGnRH製剤投与前に約2割の牛が発情を示すと言われています。この欠点を克服するため、オブシンク法にシダーやプリッドといったプロジェステロン徐放製材を併用する方法があります。
今回は、この方法について解説いたします。
シダーシンク法

基本的に、シダーオブシンクプログラムではオブシンク法にCIDRを併用する形を取ります。CIDRは、黄体から放出されるプロジェステロンというホルモン製剤であり、強制的に黄体の存在する環境を作ります。このため、卵巣静止や卵胞嚢腫といった状態の個体にも有効です。
CIDRの挿入期間を8~10日に調整することや、0日目のGnRHをE2に変更すること、9日目のGnRHを8日目のE2に変更することなど、さまざまな方法が考案されています。それぞれの農場に適した方法をお試しいただくことが重要です。
E2(エストラジオール)とGnRHのホルモン剤の価格は大きく異なります。E2は1mlで約50円、GnRHは1mlで約400円です。作用は若干異なりますが、プログラムコストを抑えたい場合はE2を使用しても良いでしょう。
シダーを挿入する期間には御注意を

授精方法別の受胎率を示した図があります。一番右側のEB14は、CIDRを14日間留置した授精の受胎率を表しており、受胎率は20%しかありません。
これに対して、一番左の棒で示した自然発情の受胎率は50%となっています。
CIDRの挿入期間を14日まで伸ばすと、受胎しないことはないものの、受胎率が大幅に低下する傾向があります。これは、排卵に至る主席卵胞が古くなる(エイジング現象が起こる)ためだと言われています。
また、CIDRを留置すると膣炎を引き起こすことがあります。シダーを抜く際に白濁した粘液が付いてくることがありますが、基本的に受胎率には関係ありません。ただし、頸管がやや太くなるため、授精に慣れていない方は授精時間が長引き、膣内の炎症を子宮内に持ち込む可能性があります。
この図のCIDRを14日間留置した牛とCIDRを使用しなかった牛では、空胎日数に大きな差があることが分かりました。つまり、CIDRを使うと受胎するまでに時間がかかる傾向があるのです。
CIDRシンクは一見受胎しそうな気もしますが、しっかり受胎率を確認することをお勧めします。
シダーシンクは農場によって臨機応変に

この図は、CIDRシンクが成功している農場の事例を示しています。左から3番目の棒がCIDRシンクの受胎率であり、受胎率は70%となっています。自然発情の受胎率が65%なので、優れた受胎率と言えます。
この事例では、分娩後70日以上経過し、子宮に問題がなく、黄体が存在しているがPG投与のタイミングではない牛を対象にしています。
シダー挿入時にE2を注射し、約10日間シダーを挿入します。
シダーを抜くタイミングでPGを注射します。
翌日にE2を注射します。
そして、翌日に牛が騒いだ場合は授精し、騒がなかったら翌々日に畜主が授精します。
この方法がうまくいく農場もあれば、全くうまくいかない農場も存在します。
CIDRの使い方は難しいと感じることがあるのが、私の本音です。
まとめ
オブシンク法にCIDRを併用した方法
開始時期に影響を受けず、卵巣静止や卵胞嚢腫にも有効
留置期間には注意が必要、GnRHをE2に変更可能
分娩後、早めの使用は注意
受胎率チェックを忘れずに
シダーシンクプログラムが農場にうまく適応できれば、40%以上の受胎率を得られるでしょう。
ただし、授精は可能であっても、受胎率が低いケースも存在します。
留置期間、注射のタイミング、注射の種類、注射を行う人、授精を行う人などを考慮し、農場に適した方法を検討することがお勧めです。
さらに、分娩後の早めの初回授精をシダーシンクに頼ると、低受胎率を引き起こす可能性があるため、子宮の環境がきれいになってから使用することが望ましいです。
受胎率の確認を忘れずに行いましょう。



コメント