
オブシンク法を使っていますが、受胎率がいまいちです。そこで、オブシンク法について教えて下さい。

オブシンク法の受胎率を上げる為には、まず原理を理解することが大事です。それではオブシンク法について勉強していきましょう。
オブシンク法は数あるプログラム授精の基本形であり、このプログラムをしっかり理解すれば他のプログラムがスムーズに理解できるようになります。1990年代にこのプログラムが開発されました。要は牛の発情をホルモン剤でコントロールして、決められたタイミングで授精します。
このオブシンク法の受胎率をあげる為に一番重要なポイントはオブシンクの開始時期です。
それでは、なぜ開始時期が重要なのか勉強していきましょう。
オブシンク法について
オブシンク法のポイント
オブシンク法のメリット・デメリット
オブシンク法について

実際のオブシンク法は最初のGnRHを投与(Day0と言います)して7日後にPG(Day7)、そして48時間後にGnRH(Day9)を投与して16~20時間後に定時授精をするといったプロトコールです。
この16~20時間後に定時授精する!点が忘れやすく、よく分からなくなるポイントでもあります。
ですので、上の表は午前中に定時授精を行うために、Day9に投与するGnRHは夕方に投与します。できれば、Day7のPGも夕方に投与すると48時間後にDay9のGnRHを投与することができます。日にちさえ間違わなければ多少の差は問題ないでしょう。
少し小難しい話になりますが各注射を打つ理由は以下の三点
- Day0:最初のGnRH投与時に主席卵胞が存在していれば、主席卵胞が排卵してその2日後までに新しい卵胞が形成されます。このDay0の注射で新しい卵胞を作ることができるか!が重要です。この新しくできた卵を10日目に排卵させるのです。
- Day7:元々存在していた黄体あるいは最初のGnRHで排卵して形成された黄体のいずれか、あるいは両方の黄体がある状態でPGが投与されます。PGはこの黄体を退行させるために投与します。この黄体が退行する時点で卵胞ウェーブ出現後5日目になる主席卵胞が存在しています。
- Day9:卵胞ウェーブ出現後7.5日になる主席卵胞が存在する状態において、2回目のGnRHを投与します。理論的に排卵はGnRH投与後約27時間に誘起されることから、最適の授精タイミングを考慮すると、2回目のGnRH投与後16~20時間がAIの適期となります。
オブシンク法のポイント
オブシンクを成功させる最大のポイントは開始時期を見極めることです!
最初のGnRH投与時に主席卵胞を排卵させること、裏を返すとプログラム最中に本当の発情が来ないように時期を見極めることです。
開始時期は発情が終了して排卵後5~9日目に最初のGnRHを投与します。
排卵後5~9日目っていつか分かりますか?
一番簡単は方法は出血を確認して7日目ごろから開始すると良いでしょう!
エコーで確認できる場合は主席卵胞と排卵後5~9日目の黄体が共存していることを確認して下さい。診たときが排卵後5~9日目に当てはまらない場合は、開始タイミングを指示するのもいいでしょう(排卵した直後と診断したら、5日後からオブシンク開始してくださいと指示する)。
低受胎となるのは前回の発情から14日目前後で開始してしまうことです。プログラム最中に本当の発情がきてしまいます(発情行動を示せばいいですが、プログラム授精を選択しているので基本的には発情を示さないでしょう)。
もう一つ低受胎となるケースは卵巣が正常に機能していない場合です。卵巣静止や卵胞嚢腫、もしくは子宮疾患を抱えている牛です。黄体があって、子宮に問題が無い牛に用いましょう。
オブシンクの受胎率は40%程度を目標にしてください。タイミングを見計らうのは獣医師の腕でもあります。出血は分かるのに発情がわからない!という牛にもオブシンク法は有効です。

これは最初のGnRH投与時に黄体が未熟な牛に有効で、PGを2回投与することによって二回目のGnRH投与時に黄体がしっかり退行し受胎率が上昇します。オブシンク開始時期が前回の発情から早い場合に有効です。オブシンク法で受胎率が低い場合は試す価値ありです。
オブシンク法のメリット・デメリット
プログラム授精を始めるにあたって、実は一番大事なことは授精師さんと良好な関係を築き、このプログラムへの理解を必ずとっておいて下さい。たいていの牛は発情を示すことはありません。理解不足が生じていると定時授精をして頂けない可能性もあります。しっかりコミュニケーションを取っておきましょう。実際の受胎率を提示したり、定時授精時の状況等を授精師さんと共有してより良い関係を築いていくといいでしょう!
受胎率40%程度を見込める授精方法で発情を発見する必要が無い
前回の発情から1週間後のタイミングで高い受胎率が見込める
発情周期が回っていない牛は低受胎率
開始時期を誤ると低受胎率(前回の発情から14日前後)
開始時期に黄体ホルモンレベルが低い牛は2回目のGnRH投与時点で黄体が退行せず低受胎率
経費がかかる(およそ2600円程度)
まとめ
オブシンク法どうでしょうか?3回注射する意味を十分に理解して頂けたでしょうか?
わたしの場合は繁殖検診をする際、なるべく早く授精するために状況に応じてオブシンク法とPG投与を使い分けていました。
オブシンク法は開始タイミング時期さえあっていれば受胎率40%前後は見込めるでしょう。
最初のうちは、Day7のPGを打つタイミングにエコーで黄体の存在を確認するのをお勧めします。黄体が2個形成できていたら完璧です。
このオブシンク法は開始タイミングによって受胎率が左右されるため、開始時期を決める人に依存されます。プログラム授精が好きな獣医師もいれば嫌いな獣医師もいます。結局は担当している獣医師の好みや力量に左右されてしまいます。
この問題を解決するために、開始時期や卵巣の状態に左右されないプログラム授精も考案されています。後述しますが、発情を見つけるシステムさえ構築できれば、極論、プログラム授精は必要ないと思っています。注射を3回も打つ必要はないかなと(笑)
とどのつまり、発情発見が大切ということです。プログラム授精もしっかり理解した上で発情発見頑張りましょう!



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