
初回授精受胎率がどうしても上がりません。いい方法はないでしょうか?

今回は初回授精プログラムのダブルオブシンク法について勉強していきましょう
初回授精の受胎率を上げることが農場の繁殖管理を向上させる近道です。
分娩して約一ヶ月頃にくる最初の発情を見つける事はできますでしょうか?ここを見つけることができている方は満足する初回授精受胎率が得られているでしょう!
初回発情を発見をするのはどうも苦手!発情発見する時間がない!お金を払ってでもいいから何とかして!という方に。初回授精率と受胎率をあげるための初回プログラムをお伝えします。
プログラム授精はまずオブシンク法という方法が考案されました。このオブシンク法に様々なスパイスを加え今日では沢山のプログラム授精が存在します。その中でも、ロングプログラム授精に分類されるダブルオブシンク法について勉強していきましょう。
ダブルオブシンク法はその名の通り初回授精を行う日までにオブシンクを2回(ダブル)行う方法です。
オブシンク法に関してはこちらの記事を参考に。
分娩したら決められた日に淡々と注射を打つので、注射が苦でなければ(一般的には農場の方が行います)、初回発情発見する必要なし!フレッシュチェックする必要なし!たくさんの牛を保定する必要なし!です。
そのため、牛が分娩してから獣医師が最初に直腸検査をする時は妊娠鑑定になります。繁殖管理はと~ても楽になります。上記の悩みがある方はお試しあれ!
では、実際の手技について
ダブルオブシンク法のプロトコール

ダブルオブシンク法は文字通りオブシンクを2回行います。1回目のオブシンクで分娩後の無発情の個体にもGnRHを2回投与することによって排卵誘起と黄体形成が促され、PGFで子宮疾患に対応します。
この前処置によって2回目のオブシンクのPGF投与時にはしっかりした黄体に投与する事が可能となり確実な定時授精を行うことができます。
定時授精(TAI)はその農場で高受胎率が見込める日数に調整するといいでしょう。70日前後が無難かと思います。このプログラムは27日間かかるロングプログラムなので分娩後40日頃から開始することになります。ある程度の牛をまとめて金曜日に開始することをお勧めします。
この図をみて分かるように全ての処置を平日に実施できることから、従業員が多い大規模牛群に向いていると言われています。
しかし、規模に関係なく初回授精に困っている場合、一度試してみてもいいと思います。やってダメなら辞めればいい!トライアンドエラーをすることが大切です。
ダブルオブシンク法を一部改変

これは基本的なダブルオブシンク方を農場に合わせて一部改変したものになります。どうしてもプログラム授精中に発情を示す牛がいます。そういった場合は受胎率をみながら調整していけば良いかと思います。途中できた発情は全然受胎しない様であれば、ダブルオブシンクプログラムを最後まで行って授精してください。この農場はせっかくきた発情だから授精する方針をとっていました。
プログラムをみて頂けると24日目と25日目でPGを連日投与しています。PGを二日連続で投与した場合の方が黄体退行作用が良かったので2回打ちをしていますが、PGF1回投与でも受胎率はさほど変わらないと思います。
本農場では初回受胎率37%で、99%の牛に分娩後70日前後で授精することが可能でした。
分娩後70日で99%の牛に授精可能!!!これが本プログラムのキーです。
農場によって低受胎率や胚死滅が多いといった傾向も出るので、受胎率は必ずチェックして下さい。
初回授精にかかるホルモン剤の経費はざっと計算して6000円程度かかります。初回授精を6000円+手間で買うか?自分で頑張って発見するか?さぁ、どちらがいいでしょう。
定時授精後は回帰発情を発見することが大切
定時授精を終えたからといって安心するのは時期尚早です。
ダブルオブシンク法の表を見ると木曜日にTAIとなっています。回帰発情は3週間後の木曜日にくる予定になります。つまり、ダブルオブシンク法を実施すると定時授精する牛と回帰発情する牛で木曜日に発情が集中することになります。
ダブルオブシンク法の受胎率を40%と仮定しましょう。60%の牛は回帰発情がきます。回帰発情がきたうちの40%を発見できれば分娩後70日で牛群4割受胎、回帰発情で牛群の5割受胎といった計算になります。
つまり、このプログラムがうまく機能すると分娩後100日で牛群の半分は受胎します。数値だけ聞くととても良いように感じるのではないでしょうか。
アメリカの分娩間隔と初回授精受胎率
定時AIプログラム発症の地であるアメリカではホルスタイン種経産牛において過去10年間にわたり初回AI受胎率がほぼ変わらない中で、分娩間隔が短縮し続けています。2003年からの10年間で分娩間隔は12日短縮し、2012年で初回授精受胎率33%、分娩間隔404日。乳量が増加の一途をたどっている中で繁殖成績の指標が好転し続けていました。
これは定時AIプログラムの浸透が寄与しているそうです。日本ではアメリカほどホルモン剤が安価ではないため、経費がかかってしまう点はありますが、分娩間隔400日を切るために初回授精に困っている方は一つの方法として頭に入れておいて下さい。
初回授精って大事ですね。
まとめ
27日間かかるダブルオブシンク法について
経費と注射の問題をクリアできれば、とっても繁殖管理が楽になる
アメリカの初回授精と分娩間隔
初回授精の重要性
今回は、初回授精に用いられるダブルオブシンク法について解説しました。
このプログラム授精のメリットは
- フレッシュチェック必要無し
- 初回発情を見つける必要なし
- 高い初回授精受胎率が見込める
- 繁殖検診頭数が大幅に減る(最初の検診が初回妊娠鑑定になる)
デメリットは
- 初回授精するまで6回注射する必要がある
- 6000円程度の注射代がかかる
- 受胎率をチェックする必要がある
これをやれば受胎するわけではなく、あくまでも牛群の適切な管理があってこそのプログラム授精であることをお忘れ無く!
初回授精はとても大事です。初回授精受胎率を極めよ~!



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