
なぜ繁殖検診をやる必要があるのかしら?

安定的に分娩をすることが盤石な酪農経営につながるからです
なぜ定期的に繁殖検診をやる必要があるのだろう。なぜ発情を見つける必要があるのでしょう?お金、手間、時間もかかり面倒だなぁと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
わたしも最初は繁殖なんてPG・GnRH製剤を投与するだけで良いのではと思う時代がありました。しかし、繁殖はそんなに単純なことでは無いことが次第に分かってきました。いくら繁殖治療をがんばっても思うように農場の繁殖成績はあがらないのです。
良く種がとまる様になると、農場経営が楽になることが実感して分かってきました。農場の方が笑顔になる(笑)
では繁殖が回りだすと、どういった良いことがあるのでしょうか?
出荷乳量が増える!
人間と同じように牛は出産することにって初めて泌乳を開始します。1日の泌乳量は分娩後1~2ヶ月でピークを迎えその後緩やかに減少していきます。搾乳を初めて300日程度したら搾乳を中止して、60日間ほど次の出産を迎える為に牛を休ませます(乾乳)。
そして、また出産して泌乳を開始するという一連のサイクルになります。このサイクルを適切に回す事がとても重要であり、その為には牛が安定的に出産を繰り返す必要があります。
昔から繁殖成績の最良とされている1年1産とは、牛の妊娠期間は280日なので、出産して85日で妊娠すると85日+280日で365日=1年1産となります。

ここでポイントとなるのは1日泌乳量は分娩後1~2ヶ月でピークを迎え次第に減少していくという点です。できるだけ乳量があまり出ない期間(搾乳を開始して300日以上)を短縮し、早く次の出産後のたくさん乳量が出るピークを迎えたいものです。
そのためには出産後なるべく早く妊娠させてあげることが重要となります。繁殖が回っている酪農家さんは乳量がたくさん出る時期の牛の割合が増えます。
受胎が遅れることによる乳量損失

家畜改良事業団の技術情報を引用すると、分娩の間隔が60日違うと1頭当たりの年間収入は12万円もの違いが生まれます(乳価100円)。規模が大きくなればなるほどこの差は大きくなり農場経営に大きな大きな違いをもたらします。
100頭規模の分娩間隔380日農家と分娩間隔440日農家で乳価100円と設定すると年間あたり1200万の差が発生する計算になります。
牛を飼っていると基本的には乳量の多い少ないにかかわわず餌代・飼養代(水道・光熱費・家賃)・人件費など様々な固定費は同じようにかかります。
農場の利益を最大限引き出すためには繁殖を回すことです!
子牛がたくさん生まれる!

牛群の繁殖が回り始めると年間の出生子牛数が増加します。例えば50頭規模の牛群で分娩間隔が450日から390日に60日短縮すると年間7頭出生子牛数が増加します。たった7頭と思うかもしれませんが、和牛やF1子牛が生まれると年間100万円以上の利益になります。
また、牛群の遺伝的改良が早まり、この差は今後農場にさらなる大きなメリットをもたらすでしょう。
繁殖が周り始めると出荷乳量に加え個体販売金額も増え良いこと尽くめなのです。
パフォーマンスの高い牛を揃えることができる
繁殖が回っている場合、初産牛(後継牛)が安定的に搾乳牛として誕生してきます。乳牛は生後13~14ヶ月に初回授精を行い、24ヶ月(二歳)で出産します。乳を出すことができないこの2年間は未来への先行投資期間となります。
繁殖が回っていない場合、初産牛と置き換える事ができないので、パフォーマンスが低下している搾乳牛(足が痛い、乳房炎になりやすい、受胎が遅れて太っている、病気にかかって痩せている)に無理をして授精をしなければなりません。
このような牛に苦労して受胎させても、分娩時のトラブルに繋がるケースも多々見受けられます。
繁殖を回すことができれば初産牛が安定的にあがってきますので、牛群内にパフォーマンス(生産性)の高い牛を揃えることができます。
まとめ
出荷乳量が増える
生まれる子牛の数が増える
農場内に生産性の高い牛を揃えることができる
遺伝的な改良が進む
繁殖が良くなるメリットを簡単にのべましたが、実はもっともっと良いことがあります。
是非とも農場の繁殖成績、分娩間隔400日を切る程度を目指してください。
そして、その良いことを是非とも体験してみてください(笑顔)



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