妊娠率について

その他の繁殖

 

酪農家さん
酪農家さん

最近、妊娠率という指標を耳にしますが、妊娠率について教えて下さい。

プラチナベット
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妊娠率とは農場の総合成績を一つの数値で表したようなものです。是非、しっかり理解していきましょう。

「妊娠率」という言葉を聞いたことがありますか?

これは農場で妊娠している牛の割合を示すものではないんです。

ここで紹介する妊娠率とは、牛群の受胎していくスピードを示す指標です。

妊娠率20%と聞くと繁殖に関しては上手くいっていう牛群だな!

妊娠率10%と聞くとまだまだ伸びしろのある牛群だな!繁殖が良くなればもっともっと稼げるようになるな!と考えます。

妊娠率の数値を聞くだけでその農場がある程度分かっちゃうのです。

近年、この数値を使っている繁殖ソフトをよく目にします。妊娠率の意味について理解しておくことは農場の繁殖成績を良くする為の必須条件です。

是非、妊娠率という言葉の意味を理解していきましょう!

なぜ、妊娠率という指標が必要なのか?

農場の成績を示す指標には様々なものがあります。

まずは、一番有名な分娩間隔という指標があります。

分娩間隔という数値は昔から使われてとても分かりやすい数値ではありますが、デメリットも理解しておきましょう。過去の分娩と分娩の間隔を平均した値です。2回分娩を経験した牛しか成績に含まれません。分娩を1回しか経験していない初産牛や、妊娠に至らなかった牛の成績は含んでいないのです。受胎しなかった牛を積極的に淘汰できる農場は分娩間隔は短くなる傾向なります。一方で、やっとも思いで長期不受胎牛が妊娠しても、逆に分娩間隔は長くなってしまうといったマイナスの面もあります。

さらに、繁殖に問題のない農場は良いのですが、分娩間隔が長い農場では実際にどこに問題が隠れているかを推測しくく、具体的な対応が取りにくいといった特徴をもっています。

空胎日数とういう指標もあります。これは受胎した牛だけの数値となり、実際に受胎しなかった牛の成績は含まれません。こちらも、苦労して受胎すると空胎期間は延びるというマイナス面もふくんでいます。

受胎率という指標もあります。受胎率はもちろん高いに超したことはありませんが、分娩して120日から授精を開始して平均受胎率50%の牛群と、分娩して50日から授精を開始して平均受胎率30%の牛群を比べるとどちらの農場の方がパフォーマンスは高いでしょうか?

もちろん、より収益性の高い方は受胎率30%でも、分娩後早めに授精を開始する受胎率30%の牛群です。

以上の様に様々な指標にはそれぞれ欠点を持ち合わせています。

このような欠点を補った指標が「妊娠率」になります。

デメリット

分娩間隔:過去の分娩と分娩の間隔の平均値 時間の概念は含むが1年前の結果 初産・不受胎牛は含まれない 長期不受胎牛が受胎したら数値が増える

空胎日数:受胎した牛のみの平均値 不受胎牛は含まれない 長期不受胎牛が受胎したら数値が増える

受胎率:時間の概念を含まないので、受胎率が高いからと言って必ずしも農場の成績が良いとは限らない 

妊娠率を示すグラフ

妊娠率は発情発見率✕受胎率で表すことができます。

妊娠率を示すグラフ

このような表を目にしたことはありますか?今回は、このようなグラフもしくは表の見方を解説していきます。このグラフを見るだけでどこに問題があるかが分かります。

それではいってみましょう!途中でくじけないように頑張ってついてきて下さい。

妊娠率を数字で表す

先ほどのグラフを数値で表すと下表のようになります。この表は学生時代にもらう通知表の様なもので、これを見れば農場のおおよその傾向はつかめます。

見るポイントは妊娠率の列で値が20以上を示しているかです!!

日付 授精対象牛 授精頭数 発情発見率 妊娠頭数 妊娠率 流産
2016/4/1 38  19  50 16  1
2016/4/22 35  20  57  18  0
2016/5/13 29  15  52  18  1
2016/6/3 32  13  41  19  0
2016/6/24 28  19  68  21  0
2016/7/15 29  15  52  21  0
2016/8/5 29  16  55  21  0
2016/8/26 31  20  65  23  1
2016/9/16 33  19  58  24  2
2016/10/7 34  17  50  18  2
2016/10/28 31  15  48  26  0
2016/11/18 30  13  43  17  0
2016/12/9 25  13  52  12  0
2016/12/30 28  21  75  25  0
2017/1/20 26  16  62   20  0
2017/2/10 22  15  68   27  0
2017/3/3 18  44  0
合計 498  274   55    97   20  7

左の日付けは21日間隔で表示され、授精対象牛・授精頭数・発情発見率・妊娠頭数・妊娠率・流産頭数の順に表記されています。

一番上の黄色マーカーで示した箇所をご覧下さい。2016年4月1日から2016年4月22日までの21日間に授精対象牛は38頭いて、このうち19頭の牛に授精を行いました。よって発情発見率は50%(19/38)です。そして、このうち6頭が受胎し妊娠率は16%です。これは冒頭に表示したグラフの一番左側の棒を示しています。

一番左側の棒がグラフの一番上と一致 赤棒が発情発見率 緑棒が妊娠率 受胎率は緑の棒/赤い棒

妊娠率は受胎頭数/授精対象牛(6/50)=16、もしくは発情発見率✕受胎率で求めることができます。

妊娠率とは

基本的には発情発見率✕受胎率で求める

もしくは、受胎頭数を授精対象牛で割って求めることもできる

受胎率は表記されていませんが、妊娠率と発情発見率が分かっていれば受胎率を求めることができ、赤色の棒が高くて緑の棒が低いと受胎率は低い。赤色の棒と緑色の棒が完全に重なると受胎率は100%を意味します。

妊娠率(16)=発情発見率(50)✕受胎率(X)、これを計算すると受胎率(X)=32%となります。

上のグラフには17本の棒が表示されています。一年間365日を牛の発情周期21日間で割ると17となります。よって、このグラフには1年間分の成績が表示されています。

年間成績の妊娠率20%はおおよそ分娩間隔400日程度とお考えください。つまりこの21日間の妊娠率(緑の棒)20%以上を維持し、積み重ねることによって分娩間隔400日を達成することができます。

自分の農場の妊娠率はどれくらいでしょう?

次に妊娠率を構成する発情発見率と受胎率に関して深掘りしていきましょう。

発情発見率について

 授精対象牛の定義は下のようになります。

授精対象牛の定義

1.VWP(生理的空胎期間・母牛を休ませる期間・おおよそ分娩後50~70日)を過ぎていること

2.繁殖対象牛であること

3.空胎であること

先ほどのグラフは21日間で刻まれていました。この21日間の中にいる授精対象牛にどれだけ授精できたかを表したものが発情発見率(授精頭数/授精対象牛)です。21日間という時間の概念を含みます。

妊娠率をあげるためにはVWPを過ぎた授精対象牛には積極的に授精をする必要があります。

まずは発情発見率60%以上を目指しましょう。

受胎率について

受胎率はもちろん受胎頭数/授精頭数です。

しかし、受胎率は角度を変えて分析をする必要があります。問題が浮き彫りになってきます。

受胎率の分析

授精方法:自然発情・PG・ET・各種プログラム授精で一番高い授精方法はなんでしょう。

産次:初産、2産、3産以上、産次によって受胎率が変わります。

精液:精液によっても、もちろん受胎率が変わってきます。

授精師・獣医:授精する人・治療する人によっても受胎率は変わります。

授精回数:授精回数別の受胎率。初回授精・授精4回以上で低受胎率が散見されます。

授精間隔:授精間隔によっても受胎率が変わります。非周期での受胎率はどうでしょう。

曜日:曜日によっても受胎率に偏りがでてきます。

月:春夏秋冬、季節によって受胎率に差がでます。暑熱対策は十分でしょうか。

分娩後日数:分娩後あまりに早い授精は低受胎率を示します。分娩後の授精適期日数は?

以上、受胎率と一言でいっても上記の様に様々な受胎率に分類することができます。

これらのうち、平均受胎率と比較して低い項目はなにか?

平均受胎率より高い受胎率はなにか?

高い受胎率が見込める方法を積極的に行い、受胎率をあげていきましょう。

目指すは受胎率40%。少なくとも受胎率35%以上を目指しましょう!!!

妊娠率を上げる為に必要なこと

以上、妊娠率についての説明でした。

妊娠率を上げるには発情発見率を上げること、受胎率を上げること、このたった2点です!

妊娠率を上げるポイント!

VWPを過ぎたら積極的に授精を行い、その受胎率を上げること!

そして、不受胎牛を早期に発見しその受胎率をあげること!

ホルスタイン種では妊娠率が15%から20%に5ポイント上昇すると単純計算で1頭あたりの純利益が6~8万円増えるとの試算もあります。

妊娠率の上昇=出荷乳量の増加です。売り上げは全てを癒やす!!!

妊娠率の確認方法

北海道の牛群検定WebシステムDLではこの妊娠率が表示されています。

DLのメイン画面

このメイン画面を開いたら繁殖指標をクリック

このような妊娠率がでます。

先ほどの同じような表がでてきます。この表では期間集計の妊娠率は25%となっているので、非常に優秀な繁殖成績であることを意味しています。

平均の発情発見率が37%と低値ですが、受胎率が62%あるので妊娠率は25%あります。

発情発見率が低く受胎率が高い場合は少ない労力・経費で最大の効果を出していることが伺えます。

大事なのは妊娠率の数値です!

北海道以外の方で妊娠率を表記する繁殖管理ソフトを使用していない場合、残念ながらこの妊娠率を算出することは困難となります。できないことはないですが、時間や労力を費やし、本質的ではありません。

北海道以外でも乳検実施農場では妊娠率が表記されるようになって欲しいものです。

ただし、まだ乳検データだけでは詳細な発情発見率と受胎率の分析はできませんのでご注意ください。

まとめ

妊娠率は21日間という時間軸の受胎した頭数なので、長期不受胎牛が受胎すれば成績は良くなるし、受胎率の概念は不受胎牛の成績も含みます。冒頭で紹介した数値のデメリットを克服した指標として活用されるのです。

また、妊娠鑑定を行えば受胎率が分かるので、2ヶ月前の成績が分かります(リアルタイムに近い結果が得られる)

さらに、発情発見率と受胎率を分析することによって評価行動を行えるメリットがあります。

妊娠率は発情発見率✕受胎率で求めることができる

妊娠率グラフの意味を理解する

発情発見率と受胎率を分析して妊娠率を上げる

妊娠率20%以上を目指す(およそ分娩間隔400日)

妊娠率=発情発見率(時間の概念)✕受胎率=牛群の受胎していくスピードを示します。

妊娠率20%を達成するためには発情発見率60%✕受胎率34%が必要です。

妊娠率が20%を超えている牛群は大抵のことは上手くいっている感じがします。きっと、繁殖が良くなると農場全体が良くなるのでしょう。

妊娠率20%以上目指して頑張るぞぉ!

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